不動尊例祭(栗柄)
落差4mの不動の滝の滝壺に祀られている石像の不動明王像は、倶利伽羅不動尊(くりからふどうそん)と呼ばれ、栗柄の地名の由来になったとされています。この場所に立つと、激しく落ちる滝と憤怒の形相で静立する不動明王が、訪れる人々の心の内まで見透かし、隔世と安堵といった一種独特の雰囲気に誘ってくれます。
このあたりは、丹波大峰(おおみね)ともいわれ、中世、多紀連山(三岳)は修験道の山として知られていました。盛時は多くの山伏(修験者)が修行に励んだと伝えられています。
不動尊例祭は毎年、年始めの1月3日に行われ、滝の上の広場で丹波大峯会により大護摩(おおごま)炊きと、火渡りの儀式「火生三昧」が執り行われています。
かつての三岳修験道の修行を彷彿とさせる祭りで、不動明王へのご祈祷(9時30分頃)、広場の中央に拵えられた大護摩点火(10時30分頃)と続く。火と煙がごうごうと立ち昇り、丹波修験者の方々の読経の声が響き渡り、荘厳な空気が漂います。
火渡りの儀式(11時30分頃)では、修験者の方が渡られたのち、参拝者の方々が一年の息災を願って次々と渡ります。
願い事をしたためた木札を修験者に託し、護摩壇に投じた後、参拝者は焼けた丸太の上を裸足で歩き新年の幸福を願います。
【会場住所】〒669-2711 兵庫県丹波篠山市栗柄1318-1 周辺
※進行状況により、時間は若干変わることがあります。
丹波篠山市栗柄という土地
栗柄の地には全国的にも珍しい二つの谷中分水界があります。
ひとつは鼓峠、もうひとつが栗柄不動のそばに落ちる不動の滝です。
鼓峠に発して栗柄集落内を流れる宮田川は、篠山川から加古川に合流して瀬戸内海に注ぎ込み、
高王山観音堂のうらを流れる杉ヶ谷川は宮田川に合流することなく不動の滝となり、
竹田川に注いで遠く日本海へと流れていきます。
秋に丹波篠山の盆地が霧の海に沈んだとき、一番先に霧が晴れるのは、竜の昇天伝説の残る栗柄の地といわれています。
竜の昇天伝説
丹波篠山市坂本にある、福徳貴寺(ふくとくきじ)の縁起には、この不動の滝の滝壺に棲む竜女(りゅうにょ)を成仏させたという「竜の昇天」伝説が残っています。
むかーしむかしのことじゃった。坂本の福徳貴寺に、たいへん立派なお坊さんが住んでおられた。
ある日のこと、栗柄の滝の宮に参り、お経をあげておられると、一人の少女がどこからともなく現れたのじゃ。
「わたしは、このあたりに住んでいるものでございます。
今、お経の声を聞き、ここへ参りました。どうか、ありがたい、ありがたいお経をお聞かせください」
と、頭を地につけてたのんだそうじゃ。お坊さんは、はじめは不思議に思われたが、この少女はきっと、何かの化け物にちがいないと気づかれ、言うとおりに、「それでは、いちばんありがたいお経を上げましょう」と、読経をはじめられたのじゃった。
するとまもなく、思ったとおり、少女の姿がばっと消えた。
とたんに一面まっくらやみになってしまったのじゃ。
しばらくして、滝のほうを見つめると、それはそれは、みごとな竜が、すうっと現れ、「わたしは、この滝に住む竜女(りゅうじょ)。今のお経の力で天に昇れる。ありがたや」といって、
三枚のうろこを残し、天に昇っていったということじゃ‥。
基本情報
- 住所
- 兵庫県丹波篠山市栗柄1318-1
イベント情報
- 会場
- 【会場住所】〒669-2711 兵庫県丹波篠山市栗柄1318-1 栗柄不動尊